2026年10月20日、オランダ・ロッテルダムで開催された「第54回世界体操競技選手権大会」の男子団体決勝。
日本代表が見事、世界選手権2大会連続となる団体金メダルを獲得しました!
2023年大会に続く優勝で、世界の頂点に立った日本男子。
しかも今回は、決して楽な試合展開ではありませんでした。
中国、イギリス、ロシアといった強豪国との接戦が続き、最後の最後まで優勝の行方が分からない展開に。
それでも日本は終盤に逆転し、最終種目の鉄棒では橋本大輝選手が14.866点という高得点を叩き出し、見事に金メダルをつかみ取りました!
さらに、今回の結果によって2028年ロサンゼルスオリンピックの団体出場枠も獲得しています。
今回は、日本代表選手たちの演技を中心に、男子団体決勝の結果と試合展開を振り返っていきます。
男子団体決勝の最終結果
まずは男子団体決勝の最終順位から。

優勝は日本!
251.928点を記録し、2位ロシアに1.599点差をつけて金メダルを獲得しました。
3位には中国が入り、249.193点で銅メダルを獲得しています。
こうして最終順位を見ると、日本がある程度余裕を持って優勝したようにも感じられますが、実際の試合は大混戦でした。
特に中盤から終盤にかけては、日本、中国、イギリス、ロシアの4チームが激しく順位を争う展開に。
5種目終了時点では、なんと1位から4位までの差がわずか0.967点。
ほんの少しのミスで順位が大きく入れ替わる、非常に緊張感のある試合となりました。
日本代表の出場選手
今大会の日本代表メンバーは以下の6名です。
・橋本大輝
・岡慎之助
・川上翔平
・土井陵輔
・前田楓丞
・小島直央
団体決勝では、このうち橋本、岡、川上、土井、前田の5選手が演技を行いました。
男子団体決勝は、ゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒の6種目で行われます。
各種目3選手が演技を行い、その3人全員の得点がチームの合計得点となる形式で、
予選とは異なり、失敗した選手の得点を除外することはできません。
つまり、1人のミスがチーム全体の結果に大きく影響します。
特に男子は6種目あるため、各種目で得点を積み重ねる総合力が求められます。
そんな緊張感のなか、日本代表は見事に世界の頂点に立ちました。
日本代表の種目別得点
日本代表の種目別得点は以下のとおりです。

特に注目したいのは、あん馬です。
日本は42.332点を記録し、全8チーム中1位の得点を獲得しました。
さらに、跳馬と鉄棒では2位、つり輪でも3位を記録。
6種目のうち4種目で上位3位以内の得点を残しています。
特定の種目だけで得点を稼ぐのではなく、全体的に高い水準で得点を積み重ねたことが、今回の優勝につながったと言えるでしょう。
それでは、日本代表の演技を試合の順番に振り返っていきましょう。
第1種目:ゆか|41.299点
日本代表が最初に迎えたのはゆか。
橋本大輝選手、岡慎之助選手、土井陵輔選手の3名が出場しました。
・橋本大輝:13.700
・岡慎之助:13.866
・土井陵輔:13.733
合計:41.299
この種目でチーム最高得点を記録したのは、岡慎之助選手。
13.866点をマークし、チームを引っ張りました。
岡選手は、2024年パリオリンピックで個人総合金メダルを獲得した実力者。
安定感のある美しい演技が魅力の選手です。
今回も高難度のタンブリングをまとめ、チームの得点に貢献しました。
土井選手は13.733点を記録。
難度の高いタンブリングを次々に披露し、演技をまとめました。
一方、橋本選手は最初のタンブリングで場外に出るミスがありましたが、その後は大きく崩れることなく演技を続け、13.700点を獲得しました。
3選手の合計は41.299点。
種目別では4位でしたが、3人とも13.7点以上を揃え、まずまずのスタートを切りました!
第2種目:あん馬|42.332点
続く第2種目はあん馬。
日本代表が今大会で種目別1位の得点を記録した種目です。
・橋本大輝:14.466
・土井陵輔:14.100
・川上翔平:13.766
合計:42.332
あん馬は、男子6種目のなかでも特に落下のリスクが高い種目です。
演技中は基本的に手で身体を支えながら旋回を続けるため、わずかなバランスの乱れが大きなミスにつながることもあります。
しかも団体決勝では、3人全員の得点がそのままチームの得点に加算されます。
そんなあん馬で、日本の3選手は大きなミスなく演技をまとめました。
特に光ったのが、エース橋本大輝選手の14.466点です!
土井陵輔選手も14.100点を記録し、なんと2人が14点台をマーク!
川上翔平選手も13.766点で続き、チーム合計42.332点となりました。
この得点は、なんと出場8チーム中1位!
日本はあん馬で一気に順位を上げ、一時首位に浮上しました。
団体戦では、苦手種目でいかに失点を抑えるかが重要ですが、今回の日本はあん馬を大きな得点源にすることができました。
第3種目:つり輪|40.933点
第3種目はつり輪。
日本からは岡慎之助選手、橋本大輝選手、川上翔平選手が出場しました。
・岡慎之助:14.100
・橋本大輝:13.500
・川上翔平:13.333
合計:40.933
この種目でチーム最高得点を記録したのは、岡慎之助選手。
14.100点をマークしました。
つり輪は、力技の難度や静止姿勢の正確さが得点に大きく影響する種目です。
特に中国やロシアなど、つり輪を得意とする選手を揃えるチームにとっては、大きく得点を伸ばせる種目でもあります。
実際に中国は、蘭星宇選手が14.733点を記録するなど、3選手全員が14点台をマーク。
チーム合計42.766点という高得点で、日本を上回りました。
日本も種目別3位となる40.933点を獲得しましたが、この種目では中国に1.833点の差をつけられる結果となりました。
前のあん馬で首位に立った日本でしたが、ここから優勝争いはさらに混戦となっていきます。
第4種目:跳馬|42.966点
第4種目は跳馬。
日本からは橋本大輝選手、川上翔平選手、土井陵輔選手が出場しました。
・橋本大輝:14.400
・川上翔平:14.366
・土井陵輔:14.200
合計:42.966
この種目では、3選手全員が14点台を記録!
橋本選手が14.400点、川上選手が14.366点、土井選手が14.200点。
チーム合計は42.966点となり、種目別2位の得点を獲得しました。
跳馬はわずか数秒で演技が終わりますが、助走から踏み切り、空中での回転、着地まで、すべての動作を高い精度で行う必要があります。
特に高難度の跳越技は着地が乱れやすく、ミスをすれば一気に減点が大きくなります。
そんななか、3選手が高い得点を揃えたことは、日本にとって大きかったと思います。
ただし、他国も負けてはいません。
イギリスはこの跳馬で43.499点を記録するなど、得点を大きく伸ばしました。
4種目終了時点では、日本、中国、イギリス、ロシアの4チームが表彰台を争う接戦に。
優勝の行方は、残る2種目に持ち越されました。
第5種目:平行棒|42.099点
第5種目は平行棒。
日本からは川上翔平選手、橋本大輝選手、岡慎之助選手が出場しました。
・川上翔平:14.566
・橋本大輝:13.933
・岡慎之助:13.600
合計:42.099
この種目で特に光ったのが、川上翔平選手です。
14.566点という高得点を記録し、チームの得点を大きく押し上げました。
橋本選手も13.933点、岡選手は13.600点を獲得し、チーム合計は42.099点となりました。
この種目自体の順位は4位でしたが、優勝争いにおいて非常に重要なローテーションとなりました。
というのも、ライバルのイギリスでは、コートニー・タロック選手が平行棒で落下。
12.233点という結果になりました。
それまで好調だったイギリスにとって、このミスは大きな痛手となります。
一方、日本は3選手が得点を積み重ね、5種目終了時点で首位に浮上しました。
ただし、ここで安心できる状況ではありません。
なんと1位から4位までの差は、わずか0.967点!
最後の1種目で順位が大きく入れ替わる可能性も十分にある中、
優勝の行方は、最終種目の鉄棒に託されます。
第6種目:鉄棒|42.299点
そして、いよいよ最終種目の鉄棒。
日本からは川上翔平選手、前田楓丞選手、橋本大輝選手が出場しました。
・川上翔平:13.100
・前田楓丞:14.333
・橋本大輝:14.866
合計:42.299
優勝がかかった最後の種目。
しかし、日本はここで思わぬアクシデントに見舞われます。
川上翔平選手がヴィンクラーで落下し、得点は13.100点。
わずかな得点差で4チームが争っている状況だっただけに、日本にとっては大きな痛手となりました。
それでも、ここから日本代表が底力を見せます。
続いて登場したのは、鉄棒のスペシャリスト・前田楓丞選手!
H難度の手放し技「マラス」を完璧に決め、さらにカッシーナからコールマンへの連続手放し技も決めるなど、圧巻の演技で14.333点を記録!
最終種目というプレッシャーのかかる場面で高得点を獲得し、チームを支えました。
そして、日本の最後の演技者として登場したのが橋本大輝選手です。
橋本選手は、2021年東京オリンピック、2024年パリオリンピックで団体や個人種目の金メダルを獲得してきた、日本男子体操界を代表する選手。
これまで数々の大舞台を経験してきた橋本選手ですが、今回の鉄棒も相当なプレッシャーがかかる場面だったと思います。
それでも橋本選手は、アドラーハーフからのコールマン、カッシーナ、リューキンなど手放し技を次々と成功させ、着地もピタリと止める素晴らしい演技を披露しました。
そして得点は、14.866点!この高得点によって日本の優勝が決定!
最終得点251.928点で、見事に世界選手権2大会連続となる金メダルを獲得しました。
最後の鉄棒でミスが出ながらも、前田選手と橋本選手が高得点を記録して優勝をつかみ取った日本。
まさに、最後の最後まで目が離せない団体決勝となりました。
日本の金メダル獲得につながった3つのポイント
ここからは、今回の日本代表の演技を振り返りながら、個人的に印象に残ったポイントを3つ紹介したいと思います。
① 橋本大輝選手の6種目での活躍
今回の日本代表で、特に存在感を発揮したのが橋本大輝選手でした。
橋本選手は団体決勝で唯一、6種目すべてに出場。
あん馬では14.466点、跳馬では14.400点、そして最終種目の鉄棒では14.866点を記録しました。
特に印象的だったのは、やはり最後の鉄棒です。
直前に川上選手の落下があり、優勝を逃す可能性もある状況。
そんな大きなプレッシャーのなかで、14.866点という高得点を記録しました。
団体戦では、自分自身の演技だけでなく、チームの結果も背負って演技をすることになります。
その状況でも、最後に自分の力を発揮できること。
これまで数々の大舞台で結果を残してきた橋本選手の強さを、改めて感じる場面でした!
② あん馬で世界1位の得点を獲得
今回の日本代表のもう一つの強みが、あん馬での高得点です。
チーム合計42.332点を記録し、出場8チーム中1位の得点を獲得しました。
橋本選手が14.466点、土井選手が14.100点、川上選手が13.766点。
3選手が大きなミスなく演技をまとめたことが、高得点につながりました。
あん馬はミスが起きやすい種目だけに、3人の演技を揃えることが簡単ではありません。
だからこそ、この種目で失点を抑えるだけでなく、他国に差をつける得点を獲得できたことは大きかったと思います。
特に日本は、2位ロシアに1.166点、3位中国に1.200点の差をつけています。
結果的に、このあん馬での得点差が、最終的な優勝争いにも大きく貢献しました。
③ 最終種目のミスを乗り越えたチーム力
そして、今回の優勝を語るうえで欠かせないのが、チーム全体の総合力です。
5種目終了時点で日本は首位に立っていましたが、4位までの差はわずか0.967点。
さらに、最終種目の鉄棒では落下が発生しました。
普通に考えれば、優勝を逃してもおかしくない状況です。
しかし、その後に演技した前田選手と橋本選手が高得点を記録。
チーム全体でミスをカバーし、最後は金メダルをつかみ取りました。
体操は個人競技ですが、団体戦では1人の演技がチーム全体の結果に直結します。
誰かがミスをしたときに、ほかの選手がそれをカバーできるか。
自分の演技に集中しながらも、チーム全体の結果を背負って戦えるか。
今回の日本代表は、そんな団体戦ならではの強さを見せてくれたように感じます。
世界選手権2連覇、そして2028年ロサンゼルス五輪へ
今回の金メダルによって、日本男子は2023年大会に続く世界選手権2大会連続優勝を達成しました。
さらに、2024年パリオリンピックの団体金メダルに続き、世界の頂点に立ち続けています。
もちろん、今回の優勝も決して簡単なものではありませんでした。
ロシア、中国、イギリスなど、世界の強豪国が高い実力を見せ、最後まで順位が分からない接戦となりました。
それでも、日本は各種目で安定した得点を積み重ね、最後の最後に勝ち切りました。
特に、あん馬での高得点や、最終種目の鉄棒で見せた橋本選手の演技は、今回の優勝を象徴する場面だったと思います。
そして今回の結果によって、2028年ロサンゼルスオリンピックの団体出場枠も獲得しました。
次のオリンピックでも、日本男子が金メダルを獲得できるのか。
そのためには、今回見えた課題を改善しながら、さらにチーム全体の完成度を高めていく必要があるでしょう。
それでも、今回の世界選手権で見せた日本代表の強さを考えると、2年後のロサンゼルスオリンピックも期待せずにはいられません。
今後、どんな選手たちが日本代表に選ばれ、どんな演技を見せてくれるのか。
今から楽しみですね!
日本男子代表の皆さん、世界選手権2連覇、本当におめでとうございます!
