2025シーズンから、器械体操はFIG(国際体操連盟)の新しい採点規則 「2025–2028 Code of Points(COP)」 が適用されています。
今回の改定は、単純に「難度を上げた人が勝つ」方向から、構成の質・終末技・着地(止め)・完成度といった“試合で点が出る要素”をより重視する流れになっています。
この記事では、男子(MAG)6種目・女子(WAG)4種目について、主な変更点をわかりやすくまとめます。
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男子(MAG)の改定ポイント

今回の男子は、Dスコアの考え方が整理され、EG(要素群)の取り方や終末技の価値が強化されました。
特に重要なのが以下の3点です。
- 男子のルール改定“3大ポイント“
- ①EGはD難度以上で満たすのが重要(低難度埋めが弱い)
- ②終末技(Dismount)の価値が伸びる設計(終末技EG=終末技DV)
- ③着地を止めると+0.1(スティックボーナス)※あん馬は除外
各種目別の主な変更点は以下です。
ゆか(FX)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| 同一EGから最大4要素まで | 特定カテゴリだけで埋める構成の偏りを抑制 | 要素分散が必須(同タイプの技の積み増しが効きづらい) |
| 時間上限が70秒へ | 演技の間延びや難度だけ増える長尺を抑える | “助走・準備“より密度(成功率)重視へ |
| 終末技の価値を強化(EG=DVの思想) | 最後を強く締める競技性の強化 | 終末技の難度を上げる必要性 |
あん馬(PH)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| スティックボーナスの対象外 | 着地より旋回、交差などの質を重視 | E得点の精度勝負 |
| EGのD難度以上重視 | 低難度での要素クリアを抑制 | EGを満たす要素の難度(D以上)を意識 |
つり輪(SR)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| EGのD難度以上重視 | 静止技を低難度で埋める構成を抑制 | D難度以上の静止技を要所に配置する必要 |
| 終末技EG=終末技DV | 終末技の価値を上げる | 終末技は難度と着地の両立で高評価 |
| C難度以上の終末技でスティックボーナス+0.1 | 静止→終末の締めを評価 | 着地の重要性がアップ |
跳馬(VT)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| 宙返りを含む跳躍はスティックボーナス+0.1対象 | “止める“価値を跳馬にも付与 | Dを上げる+着地を止めるの二段構えが重要 |
平行棒(PB)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| EGのD難度以上重視 | 低難度で要素を埋める構成を抑制 | D難度以上の技を要所に配置する必要 |
| 終末技EG=終末技DV | 終末技の価値を上げる | 終末技は難度と着地の両立で高評価 |
| C難度以上の終末技でスティックボーナス+0.1 | 静止→終末の締めを評価 | 着地の重要性がアップ |
鉄棒(HB)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| EGのD難度以上重視 | 低難度で要素を埋める構成を抑制 | D難度以上の技を要所に配置する必要 |
| 終末技EG=終末技DV | 終末技の価値を上げる | 終末技は難度と着地の両立で高評価 |
| C難度以上の終末技でスティックボーナス+0.1 | 静止→終末の締めを評価 | 着地の重要性がアップ |
女子(MAG)の改定ポイント

女子は男子ほど激変ではなく、細部調整+終末強化+芸術性強化がポイントになります。
- 女子の改定ポイント
- ①跳馬の2本のボーナス
- ②段違い平行棒の一部価値調整
- ③D難度以上の終末技ボーナス+0.2
- ④芸術性(Artistry)の明確化
各種目別の主な変更点は以下です。
跳馬(VT)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| 2本の跳躍で「前宙系+後宙系」を見せると合計に+0.2ボーナス | 異なる跳躍を評価することで偏りを抑える | 同系統の別技ではなく前後方向で分けた跳躍技を揃えると強い |
段違い平行棒(UB)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| 一部の手放し技(半ひねり)が0.1ダウン | 同系統技の偏重を抑制と、難度バランスの調整 | 構成によってはDスコアが下がる可能性 |
| D難度以上の終末技でボーナス+0.2 | 終末技の価値を強化 | 終末技の難度を上げて着地をまとめる構成が強い |
平均台(BB)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| 芸術性基準の明確化 | 見せ方、姿勢の質を高める | 流れや姿勢の完成度を高める比重が増える |
| D難度以上の終末技でボーナス+0.2 | 終末技の価値を強化 | 終末技の難度を上げて着地をまとめる構成が強い |
ゆか(FX)
| 変更点 | 狙い | 構成への影響 |
| 音楽と振付の結びつきが弱いと最大0.3減点 | 芸術性(競技としての表現)の強化 | 曲に合わせた振付が必須(技の羅列だけでは損) |
| D難度以上の終末技でボーナス+0.2 | 終末技の価値を強化 | 終末技の難度を上げて着地をまとめる構成が強い |
ざっくりまとめ
男子
EGはD以上で満たす
終末技がDもEGも伸びる
スティック+0.1で着地力が得点化
女子
跳馬は前後方向を分ける2本が+0.2で強い
段違い平行棒は一部DV調整
段違い平行棒、平均台、ゆかは終末D以上で+0.2
共通
難度“だけ”より、構成の質・終末・着地・表現が勝敗を分けるようになる
2025年度からの採点規則改定は、男子は「EGの取り方」「終末技の価値」「止め(スティック)」が得点に直結しやすくなり、構成の最適化と着地力がより重要になりました。
女子は大枠は維持しつつ、跳馬の2本ボーナスや終末技ボーナス、芸術性の明確化などにより、構成と完成度の差が出やすい方向へ進んでいます。
今後は「難度を上げる」だけでなく、“点が出る難度”を“ミスなくまとめる”ことが最大の武器になる改定と言えそうです。

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